November 24, 2012

映画 立川談志 だって?

 まー吃驚しますね。ドキュメントDVDとかTVの特集とかじゃなくて「映画」にするって。
 十八番の「居残り佐平次」と「芝浜」の2席だけで90分以上はあるからそれだけでも談志を観るというなら十分じゃんとマニアなら言うかもしれないですけどね。だって落語家なんだからその落語がすべてでしょ。
 落語家のドキュメント映画っていうと他になにかあったのかな?って調べたら小三治さんのがあってこれまた驚き。
 TV番組となりますと「こんな人だったんですよ」みたいな紹介だけで済むでしょうけど、映画作品となりますともっと深い切込みを期待してしまいますね。いったいどんなことになるのでしょう?
 そういえば談志追悼番組っていろいろあったけど、NHKでやっていた番組の出演者が野坂昭如、山藤章二、嵐山光三郎とかのお歴々で、その談話の内容が単なる回顧ではなくて物凄く神髄をついた批評であったり解説であった事に痺れたのを思い出す。そういうのお願いしたいですね。

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March 21, 2012

雨ン中の、らくだ(立川志らく)

51fyol68vpl_sl500_ 先日の落語会で入手したサイン本。
 読みやすいという評判だったので「軽薄な語り口だったらヤだな」と敬遠していたが、読んでみると軽薄な語り口は想像通りだったけど、内容は心に残るものがありました。立川談志論・落語論(落語とは「人間の業の肯定」「イリュージョン」「江戸の風を吹かすこと」)は談志本人の著作がいくつもあり、これが大変マトを得て分かりやすいものなので、わざわざ人の書いたものまで読むのは蛇足というものでしょうが、その理論へのアーティテュードとか解説、そして愛情を分かりやすく示した部分に惹かれた次第です。
 これを読んであの談笑との二人会の演目の意味とか志らく自身が立川流のB面であるといった意味がわかった気がします。
 そしてまた師事することとはどういうことかを明確に定義していて、その定義(師匠と同じ価値観になろうとすること)こそが今の芸能のあるべき姿へのメッセージになっているのでしょう。そういったところから、芸能は「人へのおもい」で紡がれているものなんだと窺い知った思いです。

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February 19, 2012

立川志らく×立川談笑 2月19日関内ホール

Img_1288 立川流の四天王といえば志の輔、談春、志らく、談笑なんだそうだ。その中でも安定した芸とお茶の間の浸透ぶりと年齢から志の輔は看板となるだろうし、渋く古典の神髄を追及する談春、このふたりがA面で、談笑と自分はB面だとうそぶく志らく。
 そうはいってもあの師匠から叩き込まれた芸は生きていて、婆さんのやり方や聞かせどころに耳を集める技術は談志の面影が垣間見える。事実志らくは師匠が自分に降りてきて勝手に噺をやっているような気持になるという。
 談笑だって辛辣なギャグを交えながらも、「時そば」の屋台の風情が見えるような語り口にしみじみしたものをワタシは感じてしまう。
 今日は新作やシネマ落語が飛び出すかな?と思ってたのですが古典で統一したあたりに今の時期、立川流のなんたるかを見つめなおそうという心なのでしょうか。
 付けたしになって申し訳ないですけど、前座となった志ら乃もよかったな。

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November 23, 2011

訃報 立川談志

落語家の立川談志さん死去…75歳 : ニュース : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 死因は「ふとした病」だったのだろうか?

 この方の高座にて教わったことが数多くあります。好きなロックバンドよりも沢山観に行ったし。
 復帰したというdvdを見る限た限りでは往年のキレもなくなっていて、それでも細く長くと、高座が駄目ならビートたけしやら何やらの所謂TVのお笑い大御所やら石原慎太郎やらに悪態ついているところをもう少し長くみたかった。残念。
 合掌

 葬式はニューオリンズ式にしたいとか言ってましたが、どうなるのでしょう。大フザケする弟子とか居たりするのでしょうか?
 弟子といえば、立川流の家元は誰が継ぐかとか色んなことがまだまだ気になります。

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September 27, 2009

立川談志「落語のピン」セレクションDVD-BOX Vol.参

41hztkxib8l 毎度おなじみの談志師匠のdvd。
 噺の内容についてはもう特に言うこともないのですが、「落語のピン」ということで「TVでの落語とは」ということをすごく意識したものになっていて、色々目からウロコが落ちることでいっぱいであります。
 もうひとつ「あっ」と思ったのは、丁度この番組をやっていた1993年というのは細川政権になった時代であり、今年2009年の世相と奇しくもオーバーラップして落語のマクラを聴いたことですね。
 それはそうと談志師匠、体調不良のため年内中の活動を休止したそうで、ついこの間完全復帰したと聞いていたばかりだったのですが、心配であります。また観に行きたい。観たことのない人にも見せてあげたい。そんな気持ちでいっぱいです。

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January 05, 2009

立川談志 立川談春 親子会 in 歌舞伎座

51sum5jdp8l_ss400_ 崇拝というにはちょっと違うんですが、ワタシにはどうしょうもなく手放しで好きな人・グループがあります。音楽でローリング・ストーンズ、作家で矢作俊彦、落語で立川談志。ま、ワタシのこれまでを知ってる人なら、何を今更言ってるの?でしょうけど。
 ただね、「崇拝」とは違うんだなぁ。なんかファンダメンタリズムみたいになってる人とかヤだし。人生でもなんでも、ストーンズとかに置き換えたりして考えたりとかね。そーゆーのではないので、愛してはいるんだけど、貶したりとかさ、そういうこと言いたくなるワケですよ。
 自分のコトは置いておいて、今回は立川談志。
 先日スマスマに家元が出てきたのを見たのは、ショックでした。何がショックだったって、声がまるっきり出なくなってる。
 去年の2月に銀座で観たのが最後で、その時も調子悪そうだと思っていましたが更に酷くなっているし、老いた感じが隠しきれない。当人隠そうと思ってないのかもしれませんが。
 で、このdvdはそれを遡った2008年6月28日のドキュメンタリー。これ観て真面目にこれが最後の高座かも知れないと思いましたよ。
 家元はこの公演の少し前に体調を崩していて、談春も「最悪中止にするか?」とまで思いつめた親子会の緊張感はなみなみならぬもの。
 家元の演目は「やかん」。ドキュメントの中で、本当は場所が歌舞伎座だし「田能久」(旅の途中の久兵衛さんとウワバミの知能戦みたいな物語で、この主人公久兵衛さんが芝居が好きで田能久一座をこしらえたとかいう由来がある)をやりたいと思っていたが、身体のコンディションが思わしくなく、2人だけの対話で終始する「やかん」の方にしたという。
 先日アップした「落語のピン」と対照的でしたね。痛々しい気持ちにまでなったけど、なんというかそれでも談志を伝えるんだという気持ちに打たれた感があります。
 ドキュメントの中で石原慎太郎が楽屋に駆けつけてきて「お前は凄いよ。もう名人だ。今のお前をお前が良しとするなら、まだまだ上りつめられるんだぞ!」と焚きつける言葉に泣きそうになりました。あんなこと親友でしか言えないんだろうな。
 そしてトリを取った談春の演目が、なんと談志師匠の十八番「芝浜」。なんという度胸なんでしょう。談志の後の古典落語は俺が継ぐという意思表明なんでしょうか。
 談春の「芝浜」は談志のものよりも江戸っ子気質が高くて、これはこれでアリ。
 なんだかしみじみと観たドキュメントでありました。

 そういえば、観たいと思っていたBSの談志特番が2日にNHK総合で再放送されて、やっと観れました。
 この時の「居残り」も少し痛々しい感じを否めなかったんですが、山藤章二が「これからは老いた談志がどんなことをやっていくかに興味がある」と言っていたのがとても印象的でした。
 やはり、どうしょうもなく手放しで好きだということは、そういう事なのです。ミック・ジャガーにしたって、今はまだパワフルさを保っているけど、この先どうなっていくのでしょう。そこはそこで聴き所がある。
 悲観ばっかりしてられないのだよ。

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December 31, 2008

赤めだか(立川 談春)

413b3kv6bgl_ss500__2 ずるい言い方かもしれないけど、ワタシは成功を収めるヒトっていうのは、何をやっても成功すると思ってる。ただ、やりたく無いかどうかの好みが人によって違うだけで、各方面に対して成功者がいるんだけどね。
 志の輔なんて人はそういう人なんじゃなかろうか。立川流の真打になることが、如何に難しいかは色んなモノを読み知っていたけど、やはり2年で真打になれるというのは、落語の才能というより、成功する(させる)才能を持ち合わせているように感じる。ソツのなさそうな人だし。
 談春はその頃の事情をよく知らなかったワタシからみると、真打競争に遅れをとった感がやはりあった。志らくは「落語のピン」によく出ていたのもあって、立川ボーイズの二人のうちのもう一人はどうなっちゃっているのか?とね。
 それよりなにより、志らくと談春は最初から仲の良い同期だと思っていたんだけど、色んな葛藤があったことをこの本で初めて知った。
 この本はそうした談春の立川流への入門から真打昇進までのハナシであるが、読ませますね。談春師匠はもう凄い風格を持ってるけど、真打が成功なのではなくて、スタートラインなんだっていうところが臭くなくて、単なる成功物語にならないところも好感がもてました。
 そして最後に、談志と小さんの関係も、泣けるハナシだったね。

 さて、今年はこれで〆
 皆様良いお年を!

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December 25, 2008

立川談志「落語のピン」セレクション Vol.1

51mkocyzml_ss500__2 随分更新を空けてしまいました。
 神経をすり減らす様なことはないのですが、公私ともども師走という具合でありまして、メンバーの私的な都合により、バンドも一休止なんですが、休みの日でもなんやかやと夜が遅いと。
 ま、それでもストレス溜めてないのです。PCに向かわずに、DVDなんか見たりして。
 
 談志師匠のDVDはラッシュという感じでいくつか出ましたが、これは必見。落語のピン。ついに出た!
 天才・異端児の名前を欲しいままとし、正しく怖いものがなくなってしまっているこの時期の映像。しかもテレビ番組で野心的なコトに挑戦しております。
 実は、テレビでやっていたこの番組はビデオに全部録ってあったんだよな。オレ。ちょっと編集ミスでオチのところだけ切れたりしてたんだけど、完全版で出てますね。
 この番組は小朝や三枝、志らく、志の輔なんかがレギュラーで出ていて、そっちも大変面白かったのを覚えています。
 今まとめて観ると、「ああ、そういうことだったんだ!」と談志師匠の狙っていたことが、改めてわかる気がしますね。
 この番組での実験のひとつに、落語を映像化する上でのカメラ配置というのがあるのですが、初回は全く機能していなかったのが、だんだんカメラワークと息があってくるのが、連続で見ているとわかってきて、大変興味深いです。
 まくらだけでも、まとめてみると、談志師匠の主張や感情が突き刺さって来る感じが良いです。
 これまで出ていた「ひとり会」の映像より、談志を知る上ではよい作品ではないでしょうか?
 マニアックな客ばかりの回と、それほど談志を知らない客が多いときの回、それぞれでの空気のつかみ方、演じ方。そういったものが、体感できると思うんです。
 是非見てもらいたいですね。

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July 05, 2008

立川談志 ひとり会 '92~'98 「初蔵出し」

21qwxwvs2tl_ss400_ 談志師匠の新しく出たdvdセット。
 ひとり会シリーズは他に2つ出てますが、これまでのものは必殺的十八番ナンバー(なんか変な言い方だなぁ)で、今回のはレア・ナンバーという位置づけのようです。だから高座が始まって師匠が「なにやろうか?ちょっとネタ帳もってこい!」とか、「楽屋でリクエストがあったので・・」というふうに、久しぶりにこんなのやってみようか・・とやってます。
 ストーンズ・ファンにしてもそうですが、十八番(オハコとよんでね)もいいけど、レアなものを聴けるのはうれしいものです。
 今回のネタはレアといわれるだけあって、ちょっとあやしい口舌のものもあったけど、江戸っ子のべらんめい啖呵で気持ちが良いものが多かったなぁ。「三軒長屋」とかよかったですね。
 吉川潮の解説ライナーがひとつひとつ付いていて、これも面白い。
 談志師匠は乱暴で暴言を吐きますが、そんな中に真実があって、色々インスパイアされることが多いですね。今回も「神戸の地震はTVで流れた途端、嘘になっちゃったな」みたいな事を言っていて、これを吉川潮が解説してますが、メディアの危うげさを的確に表現した言葉だとおもいます。
 いつも思うけど、芸だけじゃなくてこうして何かドキッとされられる高座が楽しみなんですわ。

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March 01, 2008

立川談志独演会2008年2月29日銀座ブロッサム

 談志師匠を観に来たのは実に2年半ぶりか。
 先日出た太田光監修のdvdを観たときに、いかんせん声がかすれ気味だったし、キツいだろうか?と思っていたが、風邪をこじらせたと今回もお声の張りがない。
 家がこの近くにあり、そこでは映画のビデオがあふれかえってしまっているので、ここで100円くらいで売ろうか?などというツカミから、吉兆のババアは大好きだ自民党の記者会見でも隣で座ってもらっているといいなどと、語る内容はコレまでどおりだった。最初の演目は「松曳き」。
 殿と三太夫の駄洒落合戦ドタバタ粗忽モノであるが、かすれ気味の声とテンポにキレ味なく今一歩。心配な感じが当たる。これまでの様に観ているこっちが震えだしそうな、凄みのある落語はもう拝めないのだろうか?
 中入りとなりロビーに出ると、なんと冒頭言っていたビデオを自身がちゃっかり売っている。
 最初聞いたときは市販されているものだろうと思っていたが、生テープにダビングしたのか放送されたものを録画したものなのか、しっかりマジックでタイトルとかを書いたラベルを貼ったVHSである。喜んで買う観客達。ワタシは買わなかったんだけど、このチャッカリさにまだまだ談志健在を感じて、愉快な気持ちになってしまう。
 次の演目、出だしにはやっぱりキレが感じられなかった「天災」。気の短い八五郎が心を入れ替えるよう神学者の講釈を聞かされて感銘を受け、その講釈の真似事を出鱈目に近所で披露するというあらすじである。しかし「落語とは人間の業の肯定」を広言している談志師匠のこと、そのままの解釈ではやらない。
 どう考えても八五郎の「相手が理不尽だから喧嘩をする」という了見が正論であり、神学者の講釈の方が屁理屈に聞こえる演出。ソコに持っていくまでの演出として、道を尋ねる相手に荒っぽい口はきくものの、別れ際はしっかり優しく「ありがとう」をいう八五郎。また、神学者に結局は言いくるめられるものの、感銘をうけたのではなくお前の顔を立てるのだと言い切る八五郎は、江戸っ子の凛とした清々しさまで感じた。
 そこでワタシは談志師匠を味わうのは語り口のテクニックではなく、こうした師匠の思想・了見を楽しむものなんだと考えを改めたのでした。
 そんなことを思っているうちに、とうとう師匠のスイッチが入りキレの良いテンポで場内笑うテンションが大きくなっていったのでした。実際ワタシもアレコレ考え事することなく、笑ってしまったしね。逆転ホーマーってところでしょうか。
 もう少し小さいところで観られたら、色々心配しないで楽しめるのかもしれないですけどね。

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