崇拝というにはちょっと違うんですが、ワタシにはどうしょうもなく手放しで好きな人・グループがあります。音楽でローリング・ストーンズ、作家で矢作俊彦、落語で立川談志。ま、ワタシのこれまでを知ってる人なら、何を今更言ってるの?でしょうけど。
ただね、「崇拝」とは違うんだなぁ。なんかファンダメンタリズムみたいになってる人とかヤだし。人生でもなんでも、ストーンズとかに置き換えたりして考えたりとかね。そーゆーのではないので、愛してはいるんだけど、貶したりとかさ、そういうこと言いたくなるワケですよ。
自分のコトは置いておいて、今回は立川談志。
先日スマスマに家元が出てきたのを見たのは、ショックでした。何がショックだったって、声がまるっきり出なくなってる。
去年の2月に銀座で観たのが最後で、その時も調子悪そうだと思っていましたが更に酷くなっているし、老いた感じが隠しきれない。当人隠そうと思ってないのかもしれませんが。
で、このdvdはそれを遡った2008年6月28日のドキュメンタリー。これ観て真面目にこれが最後の高座かも知れないと思いましたよ。
家元はこの公演の少し前に体調を崩していて、談春も「最悪中止にするか?」とまで思いつめた親子会の緊張感はなみなみならぬもの。
家元の演目は「やかん」。ドキュメントの中で、本当は場所が歌舞伎座だし「田能久」(旅の途中の久兵衛さんとウワバミの知能戦みたいな物語で、この主人公久兵衛さんが芝居が好きで田能久一座をこしらえたとかいう由来がある)をやりたいと思っていたが、身体のコンディションが思わしくなく、2人だけの対話で終始する「やかん」の方にしたという。
先日アップした「落語のピン」と対照的でしたね。痛々しい気持ちにまでなったけど、なんというかそれでも談志を伝えるんだという気持ちに打たれた感があります。
ドキュメントの中で石原慎太郎が楽屋に駆けつけてきて「お前は凄いよ。もう名人だ。今のお前をお前が良しとするなら、まだまだ上りつめられるんだぞ!」と焚きつける言葉に泣きそうになりました。あんなこと親友でしか言えないんだろうな。
そしてトリを取った談春の演目が、なんと談志師匠の十八番「芝浜」。なんという度胸なんでしょう。談志の後の古典落語は俺が継ぐという意思表明なんでしょうか。
談春の「芝浜」は談志のものよりも江戸っ子気質が高くて、これはこれでアリ。
なんだかしみじみと観たドキュメントでありました。
そういえば、観たいと思っていたBSの談志特番が2日にNHK総合で再放送されて、やっと観れました。
この時の「居残り」も少し痛々しい感じを否めなかったんですが、山藤章二が「これからは老いた談志がどんなことをやっていくかに興味がある」と言っていたのがとても印象的でした。
やはり、どうしょうもなく手放しで好きだということは、そういう事なのです。ミック・ジャガーにしたって、今はまだパワフルさを保っているけど、この先どうなっていくのでしょう。そこはそこで聴き所がある。
悲観ばっかりしてられないのだよ。
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