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June 05, 2016

一枚の織部皿から

Oribecyoukaro

 先日陶芸家&ジャズギタリストである安洞さんの個展にお邪魔しました。
 個展のタイトルはオリベ展。安洞さんは織部焼の研究家と言ってよく、本人はアソビ的な言い方をしていますが、博物館や資料館にある古い織部焼のミニチュアコピーの様な物を相当な種類と数で作っておられます。これがよく出来ているのと、ご本人のお話しが楽しくて、近場でイベントがある際は行かせて頂いているワケです。
 織部焼は数寄物で知られる戦国武将古田織部の好みで作られた陶器でありますが、その形状や絵柄は400年前のものということを置いておいてもアバンギャルドなものです。おそらく織部その人が「面白ければなんでもいいんじゃない?」という発想の持ち主だったのでしょう。そういった発想に何かシンパシーを感じずにはいられない自分があります。
 織部焼の絵柄は干し柿が吊るされている様やなすびといった光景や物を連続した文様にしているところとかが有名で、こうした日常目にするようなものを装飾として選択された時に何か異次元に誘われるような感覚が湧き上がります。こうしたもの選びのセンスは大変面白いですね。
 さて、写真は大変気に入って購入した皿でありますが、これはなんともエキゾチック。緑釉の皿でありながら、一般的に思われる侘び寂びの一線を越えた佇まい。
 中心にいるのはロバに乗った人ですが、左上は「めらめら」という擬音があてはまるような太陽。そういえばお皿の周囲のギザギザした形状も太陽をモチーフにしているように感じられます(古いから欠けているだけかもしれないですが・・)。こんな風に一度感じるとロバに乗った人もポンチョを着ているように思えてしまうし、太陽・ロバ・ポンチョといったら連想するのは南米しかありえないじゃないですか。「これの由来はなんですかね?」と安洞さんに聞いたところオリジナルはメトロポリタン美術館にあるものをコピーしてみましたとのこと。それってもしかして南米の食器をメトロポリタンが誤って織部焼として所有しているのでは・・?なんて疑ったりしてみたのですが、よくよく調べてこのモチーフは中国の伝説・八仙のひとり張果老であろうと判りました。
 張果老は白いロバに後ろ向きに乗っていて、移動しないときにはロバを瓢箪の中にしまっておく神通力を持った仙人です(他にも死んだふりが得意とか変な言い伝えがある)。日本ではこのロバが馬として伝わり「瓢箪から駒」という故事ことわざとなったとされています。
 なるほどそういえばこの絵の人は後ろ向きに乗っているように見える。ソンブレロだろうと思っていた帽子は中国の仙人がよく被っているやつか・・。
 なんてね。色々知識の旅をしてしまって冒頭で言ったように異次元の世界に誘われたというワケですね。
 それにしてもこの絵のシンプルな線がなんとも良い味。オリジナルを見たことないですが、安洞さんの引く線からもその味が出ているのはと思うのです。何だかものを乗せるのがもったいないなぁ・・でも使うけどね。

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Comments

オヤツならマンゴープリン、おかずなら小アジの南蛮漬け、果物なら白桃、おつまみなら鮭とばをのせてみたいです!焼き菓子も合いそう…いいですねこれ

Posted by: イノーエ | June 09, 2016 10:07 PM

>イノーエさん
ご無沙汰しております。コメントありがとうございます。
白桃いいですね〜。とても絵になります。
食器をみて何をのせるか考えるのは、ホント楽しいですねー。

Posted by: BARI | June 09, 2016 11:10 PM

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