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January 20, 2015

フィルムノワール/黒色影片(矢作俊彦) 矢作作品を読むのは至福の時間

611niw57ql_sy344_bo1204203200_ はい。楽しみにしていた矢作俊彦の新作です。
 Twitterで表紙のドタバタが伝えられていたのもご愛嬌で楽しい気持ちになりますね。
 今回は日活アクション映画に捧げられたハードボイルド作品で、宍戸錠も登場させるサービスであります。二村シリーズとの事ですが、元々矢作作品の登場人物は手塚治虫作品のようなスター・システムに近く、名前は一緒でも前作と関連がなかったりするのが常なのですが、今回はロング・グッドバイの後日談のように二村は警察を辞めた形からスタートしているのが、「おっ」と引き込まれます。
 ワタシが夢中になっている矢作作品の面白さの一つは情報量の多さです。ハードボイルド文体を取っている事で表現される比喩や登場人物のシニカルな物言いの中にストーリーと直接関係のない情報がふんだんに取り込まれている事で、例えばヘミングウェイのキーウェストの家の話や往年の映画俳優の逸話が直接それと分からないように盛り込まれいて、そういった情報が何の事か分かると物語が更に芳醇に感じられ、又ある時には伏線になっていたりというところがじっくり読むに値するものなのですが、そこはある程度リテラシーを必要とするものであるがゆえに、好みが分かれるところかも知れません。
 今作では日活アクション作品の名場面をつなぎ合わせてもう一つのドラマを作っているという仕掛けがあり、ワタシの分かる範囲では裕次郎の「赤いハンカチ」や「二人の世界」などのセリフが面白くコラージュ(いやモンタージュ)されておりそういった所を探す楽しみもつきませんでした。
 そして矢作の提唱するハードボイルド小説の中で、探偵は正義のためではなく真実を探求するために街を彷徨い歩くということを踏襲しているところがブレてないですね。
 最後にチョッと泣かせる所もいいじゃないですか。小説は泣かせてくれてナンボですよ。それが哀しくてもカッチョよくても感動であってもいいから泣かせてくれること。これにかぎります。
 楽しゅうございました。

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