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May 11, 2014

遠野物語remix(京極 夏彦、柳田 國男)

9784046532770 柳田國男の名著と言われる遠野物語の現代語訳。
 怪談・妖怪物を分解してミステリーに構築し直す作風で、四谷怪談を切ない純愛ストーリーに仕立てた京極がどのように遠野物語を料理するかと思いきや、独自の解釈・意訳はほとんど入れずそのまま現代語訳としている。大きく意図的に手を入れたのは章立ての順番を変えるということで、各小編の関連性が強調されて、遠野という所・人々がどんなかが、とてもすんなり読み解ける工夫がなされている。このやり方は当たりだし、正しくRemixというタイトル通りで小気味良い。
 もう一つ感じたのは、名調子・名文と言われる原典の文体の肌触りをどのように現代語で表現するかに力を入れている様子が分かることで、序章にある原文のキラーフレーズ「平地人を戦慄せしめよ」はそのままに、書き出しに気合いが入りまくっていて、ちょっと立ち読みして「ああ、これなら持って帰ってゆっくり読みたいな」という気持ちになったものでした。後から調べるとこの書き出し部分だけは原文にない表現を入れているんだけど、この部分こそが京極版遠野物語のワクワクする部分だったです。以下珍しく引用します。

彼の故郷は遠野と謂う。
遠い、野と書く。
どこから遠いのか、どれだけ遠いのか、判らない。

 これが最初にあるだけで、以降の物語の裏に潜む「何か」に想いを馳せずにはいられなくならないでしょうか。この文章に最後まで引っ張られてしまった読感でした。


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May 04, 2014

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!渋谷のカフェっつったらBYGとかモボモガだよなスタバとかじゃなく

Nwes130917_worldend_flyer 「宇宙人ポール」にしてもそうだけど、サイモン・ペッグ×ニック・フロストの映画はいつだって期待度大で外れないと思ってるのですが、日本では単館上映ばっかりですねぇ。そんなもんで渋谷まで足を延ばして観てきましたぜ。
 以降、ギャグが主体の映画なんでストーリーのネタバレ恐れずにいきますね。
 主人公のゲイリー(サイモン・ペッグ)は青春時代に自分の街で仲間たちと12軒のパブを一晩でハシゴするという遊びを思いつきやってみるんだけど出来るわけはない。そりゃそうで1件で必ず1パイントのビールを飲み干さなきゃいけないから12軒で6リッターだし、若いからすぐにベロベロになっちゃってケンカは始まるわ目的忘れて女の子とどっかにしけ込んじゃうわになっちゃうだろうし。で後年、あん時は愉快だったねぇって若気の至りを懐かしむのが普通なんだけど、まっとうなオトナ社会からドロップアウトしたゲイリーは、もう一度あの12軒のハシゴをやり遂げることで自分は変わることができると思い立つワケです。
 コレ凄いですね。フツーはもう一度あんなバカやって愉快な気持ちになりたいっていうのが動機であって、12軒をやりとげるかどうかはどうでもいいはずなんです。でもゲイリーは愉快にハメを外しながらも完遂にこだわる。
 1軒目のファースト・ポストから12軒目のワールズ・エンドまで、1軒目2軒めはチェーン店していて全く同じ内装の店内とメニューに白ける仲間たち。どうも街の様子がおかしいと思っていたら市民たちは宇宙人によってロボットと交換されていて街ごと侵略されているということがわかる。宇宙人はゲイリーに「お互いウィンウィンだから」と抵抗をやめるように言ってくるし、巨大チェーン店へのあからさまな風刺が痛快だが、この映画の主題は正しく、「世界の終わり」を目指したどりついた世界の終わり以後ゲイリーは本当に開放されるというオチ。ものすごく練られた映画でした。
 さてどこから開放されてどんなふうになったのか気になる方はご覧になってみてはいかがか。

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