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July 23, 2012

ヘルタースケルター 女性の女性のための女性映画

E1341421249265_1_s 蜷川実花のへルタースケルターは一も二もなく待ち望んだ映画だったので早々に観て来ましたよ。多分この映画に対してみんなが求めているもの全てを満足しえる映画になっていたのではないだろうか?と思うほどのサービス満点な映画でした。
 例えばみんなが期待した見所は以下のようなものだったのではないでしょうか。
・沢尻エリカのヌード及び濡れ場
・蜷川実花の写真世界(退廃的ロココ趣味、新鋭ファッション、花、女の子)
・桃井かおり、寺島しのぶ、沢尻エリカの超演技派女優対決
・岡崎京子の原作世界
 それに加えて、主人公であるりり子が超人気女優の座を維持するのと引き換えにした何かの孤独と、実際生まれながらにして容姿端麗であり人気女優の沢尻エリカ本人の孤独のシンクロがいかばかりのものかなどの考えなしでは見られないじゃないですか。そういったものが惜しげもなくすべてぶち込まれている。
 特にエリカ様は撮影後体調崩したといって雲隠れしたじゃないですか。どう想像しても、それって役に入り込んだのが抜け無くて精神に負担が来ているとしか思えなかったし、ダークナイトにおけるジョーカーの役作りでのヒース・レジャーの末路も記憶に新しいところでしょ。そこまで自分を追い込んだ演技ってどれだけのものか気になるじゃないですか。
 演技の理論にスタニフラフスキー・システムというのがあって、簡単に言ってしまうと役の人物と俳優の同一化を行って感情の流れや行動を自然に見せる方法(ようするに役へのなりきり)なのですが、そういった技法の実践とおぼしき沢尻エリカの演技は鬼気迫るものでした。たとえば整形外科の看護婦がりり子を支えようとする場面で怯えて動揺しているりり子が「さわるなブス!」と吠えるところとか、単に高飛車な女が人を見下しているだけでないものを見事に表現していたと思います。
 マスコミに叩かれまくって精神状態を崩していく主人公を、やはりマスコミと同じような確執のある女優が演じるワケですから、観る方も感情移入せざるを得ないです。
 そんな中、ものすごく気になるのが男優陣ですね。女優陣のコッテリとした情感の演技に対して、物語に登場する男性はみんなペラッペラ。愛人役の窪塚洋介の表現が軽薄なのは役の位置としてもっともな感じがしますが、物語の狂言回し役として登場する大森南朋の薄っぺらさには男性として違和感が物凄く残りました。あれはいったいなんなんでしょうね?
 女優陣が脂っこい演技のオンパレードだから、その対比として沈静化させるものを置くという考えはわからないではない。それでも感情を共有化できる男性として機能させることを拒むようにして大森は演技します。それはともすれば大森がダイコンなんじゃないか?という疑惑さえ起ってくるほどです。
 いろいろ考えてふと思ったのが、これを観た女性はそんなことに気が付きもしないんじゃないか?ということです。これは女性の作った女性のための女性映画だという事実があります。
 原作はコミックですから配役のステレオタイプ化はキッチリ行われているはずで、男性の役柄はセックスの相手(窪塚)なのか権威・金づる(哀川)なのか混沌としたものに対して分析と解説を行う人(大森)であるかという分類として登場しているのでしょう。そのとき、この物語の中では、感情の共有化の必要がないものとして男性が描かれていると感じた次第。というか女性にとっての男の役割ってもしかするとそれだけなのかと「うん。当然でしょ。」なんて言われそうで、それはそれはコワいお話でございます。


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July 16, 2012

最近観たLIVE 吾妻光良 & the swinging boppers マキタスポーツ

 ここのところ土曜も含めて中々時間が取れず先月末からいくつか行っていていたイベントを書き留めておくことが出来てなくて、少しタイミング遅いですが書きます。
 LIVEをね、時間取れないと言ってたわりには無理やり予定詰め込んで観に行ってたんです。吾妻光良とスィンギン・パッパーズ、それにマキタスポーツ。どうしても観に行きたかったふたつのLIVE。本来なら一本一本コッテリと書きたいLIVEなんだけど、ひとつに詰め込んで書いてしまうトコロはご容赦。
390377_2361909498466_1572204229_318 吾妻光良は、これを読んでくれている人は言わずもがなでしょうが、BLUESギタリストですね。このバンドではジャンプブルースとかジャズとかをビッグバンドで聴かせます。元々日テレの社員さんだったのでサラリーマンの等身大なテーマの歌詞にペーソスがあってコミックバンドのようですが、やっていることは通好みでカッチョイイと、一口で説明しますとそんな感じ。渋谷のクワトロはオール・スタンディングでノリノリ満員盛況でありました。
614ugucsil_sl500_aa300_ 一方マキタスポーツはロック畑出身のボーカル・ギター。音楽ネタのお笑いを浅草キッドに勧められて軍団(オフィス北野)入り。映画アウトレイジで椎名桔平に菜箸耳に突き刺される中華屋のオヤジ役が印象的ですが、最近よくTVに出てきてネタやってますね。少ない時間ですとJPOPの解説ネタとかやってますけど、長渕剛がYMOの曲を演ったらとかバイクを盗まれた悲しみを尾崎豊風に歌うとか、バンドとか弾き語りでやるネタが秀逸。でも毒ありすぎるのと著作権の関係だかで、大ウケするようなネタはTVでは見られないのが残念。こちらは赤坂のホール。開演前から自ら浜田省吾のコスチュームで前説。この日のメインはヴィジュアル系の曲作りの解説と実践で「咲き」という言葉を初めてしりました。
ヴィジュアル系のライブで、「咲く」というのは、どういう意味なのでしょうか?? ... - Yahoo!知恵袋

 さて、このふたつのLIVEについてどうして一度に書いたかというと、時間がないのもありますが、ふと心に残る共通点があったからです。コミカルな音楽というところは当然共通項にありますが、クワトロで吾妻氏がふと漏らした「いい曲っていうのはすべて・・・昔に作られた。だからあとはそれを日本語化するだけ」って達観したコメントと、マキタ氏の提唱する「売れてる曲は総じてカノンのコード進行が使われている」という言葉がワタシの中でシンクロしたからです。
 音楽の「未来」「進化」とかいう議論とは別に、人間が気持ち良くなる手法は数世紀前からある意味確立されていることは否めないでしょう。あとはその味付け(歌詞・アレンジ等)、提示方法(演奏方法・流通方法)が変わっていくということが「進化」であり「未来」なのか?ノリノリ・お笑いありのLIVEで楽しんだ後に、ふとそんなことを考えているのです。

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July 08, 2012

天下の茶道具、鑑定士・中島の眼(中島誠之助)

9784473038180 大好きなコミック「へうげもの」のアニメがNHKで放送されていて、その最後の5分に物語にまつわる現存する茶道具を紹介するコーナーがありました。それを本にまとめたのがコレ。
 全36話あり安土桃山時代の大名物が紹介されていますが、一遍一遍が短いのが残念。
 しかしそれを補って余りあるのが装丁で、なんだかこの本自体を宝物のように扱いたくなります。写真もすべてカラーで色味がなかなかよいのが気に入りました。
 テレビで中島が素人のコレクションを鑑定したあとに、どんなものに対しても「大事になさってください」って言葉を投げかけるあの気持ちっていいよね。大事にする気持ちこそが価値だからね。だからこの本も大事に観たいね。

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July 02, 2012

Overexposed(Maroon5)

Overexposed マルーン5の新譜は大ヒット間違いなしのゲバ評の中インポートではすでに発売されております。
 アダムが歌えばマルーン5節になってしまう部分もありますが、曲を共作するキーボードのジェシーらで凝ったサウンドメイクになっているところがマルーン5ならではのものだと思います。
 今回は捨て曲なしのヒット曲路線と謳われているので期待して聴いたけど、コレってLADY GAGAじゃんって誰か言わないのかな?
 確かにマルーン5として消化されたサウンドなんだけど、ポップにするための手法がGAGAなんだよな。たとえば誰もが一秒後に口ずさめるようなリフレインの多用とかね。ビートもディスコだし。
 だれでもウレスジの曲を考えるとき使う手法があるんだけど、それを単純化して結晶化して「そこまでしなくても・・・」くらいブッチ切ってやっていたのがGAGA、それとK-POPね(GAGAがアーティスティックと言われる所以は実はそこに少しカオスを加えているからなんだけど、その話はまた後日)。そこまでやったらもうミもフタもないのでは・・というラインを越えるのは、唯一無二のぶっ飛び姐さんGAGAだから許されるとか、「これはK-POPだから」って許して逆にそこを楽しむって構図があったと思います。
 その部分をシレっとマルーン5がやっちゃってるトコロってどうなんだろう?って。ま、そこまで極端な作品じゃないんですけどね、其処此処に垣間見えるワケですよ。で、コレって彼らがイヤらしく商業主義に打って出てきたものなのか、面白半分にやっているのか、なにも考えずに時代の流れに乗っているのか評価に迷うトコロでありますね。

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