ライアン・ゴズリング「ドライブ」エメラルドグリーンの反対は赤
卓越なドライビングテクニックで犯罪者の逃がし屋が主人公である。ウオルター・ヒルの「ザ・ドライバー」のリメイクのつもりで企画されたそうで「超絶アクション」とかの謳い文句がついているが大嘘。たしかにタランティーノばりのバイオレンスはあるけどね。
色んなところに映画評が出ているとおりシェーンのもじりで、若い人妻とプラトニックな恋仲になってその家族の駄目オヤジを救うためにひと肌脱ぐワケありの男の話なんだけど、アクションものとは全く別の視点で撮られているのでそういうのを期待していった人は面食らうでしょう。でもワタシには、どストライクの映画でした。良かったんですわ。
まず色彩がウォン・カーウェイのような彩度の高いワタシの好きな濃厚な色あい。オトコとオンナが恋に落ちていく過程のなんとも甘い描写。終盤出てくるどぎついバイオレンスと、犯罪映画であるという緊張感。
ラスト近く、クルマのシートで動けなくなっている主人公を地面から舐め上げるようにスローで撮っているシーンはワタシにとって至福のようなカットで、たまんなかったです。好きな写真集を観ている感じ。たぶん映画の文法とちがう文法で撮っているだね。だからみんなの想像するアクション映画と別のものになっている。
画像は徹底してカラーコーディネイトされているそうで、そういえばエメラルドグリーンの印象が濃く残っている。ヒロインの家の壁紙がそうだったり、子供のTシャツがそうだったり。そうした中でヒロインの来ているベストの赤に「ハッ」とする。そして本当のラストショットでエメラルドグリーンの意味を悟るのです。
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