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November 27, 2011

正規盤ハンサムガール

Rollingstonescinema_poster 初見のときにツイートで少し感想出したのでタイトルをひねってしまいましたが、先ごろ出たローリング・ストーンズのSome Girls: Live in Texas 78というビデオ&CDセットの感想です。
 ストーンズの78年というとその名の通りアルバム「サム・ガールズ」の売り出しツアーという形でテレビには出るわラジオショーはやるはのプロモーションの半端ないものでした。それはキースがカナダで薬物所持で捕まってその後のバンド活動が危ぶまれた反動だったのか、キースの逮捕・裁判自体がプロモーションだったのか怪しいところもありますが、とにかく「俺達ゃ元気だぜ!」というメッセージをふりまいておりました。
 当時の日本では今ほど海外ネットワークが発達してませんから、リアルタイムでその状況が伝わることは少なかったと思いますが、そのツアーのラジオショー音源はNHK FMで放送され、「こりゃスゲー」とロック少年たちをうならせたものでしたね。当時エアチェック(懐かしい言葉・・)したテープをダビングしてもらったりしてね、聴いたりしてました。
Handsomegirls その後ストーンズのブートレグ収集にハマったワタシはそのラジオショー音源のブートを入手し、喜び勇んで聴いていたものでしたが、同じ78年のテレビショウの映像があることは聞き及んでいました。しかしウワサでは安心して見るには画像が荒すぎるのと曲も数曲しかやっていないということで、スルーしてたのです。
 暫くしてブートとして出てきたのがタイトルのHandsomeGirls。
 これはダラスやらヒューストンやらで録音されたラジオショー音源のマスタ(最良音質)に加えて、同じくマスタテープからおこしたと思われるこれまで出回ったことのないフォートワースのショーが入っていたことで、マニア騒然のものでした。テレビショウの録画時にラインできれいな音声も録音していたのですね。
 当然ワタシもなんとかそいつを入手して聴き込んだものです。で、映像のことはすっかり忘れていたのですが、今になってこんなちゃんとした形で、しかもフルステージの映像が発売されたことに大変おどろきました。
 これまで正規に発売しなかった理由は、ちょっと見るとなんとなく分かる気がします。演奏がパーフェクトじゃないんですね。1曲目Let it rockからヤバい。2番の始まりでミックの歌が聞き取りにくくなりますが、アレはミック歌詞を忘れたというよりもバンドメンバーが曲の何処やってるか見失ってる感じ、いわゆる崩壊寸前。ブラウンシュガーの出だしもヤバかった。キースという人はシンコペーションのフレーズを思いつきで入れるのが好きな人で、そこが魅力でもあるのですが、ブラウンシュガーの最初からシンコペ的なイントロに更に一音加えた試みにチャーリーが明らかに動揺して、へーんな感じになったり。ジャンピン・ジャックのエンディングはもうヤケクソとしか思えない。
 そう。「ヤケクソ」とか「ステバチ」というかそういう勢いが意味不明のド迫力パワーになっていて、SHINE A LIGHTの時の管理下にあるときのヘッポコさ(悪魔を憐れむ歌のキースのソロとか酷かったもんね)とは一線を越えたロックの凄味を感じました。凶暴さなんですかね。しかし、ミックの2011年のインタビューを見て合点がいくのは、とにかく新曲ばかりなので間違わないようにやろうとしたということ。勢いづいてやってるんだけど、丁寧に弾いているところも感じられる。ちょっと怪しいけど「ままよ」とステバチでステージに立ってあとは勢いでやるしかない!という感じだったんでしょうね。そういうのすごくわかる。だからステージ上で誰もニコリともしないんだもん。
 一緒についていたCDとブートを聴き比べると、ボブ・クリアマウンテンのミックスの凄さがよくわかります。元々のブートはラインそのままですが、それに会場の声援を上手くミックスしてハンパない臨場感。
 演奏とかになんだかんだとケチつけましたが、ロックってかっちょいいよなぁと再認識した作品でありましたよ。

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