Boogie 4 Stu(Ben Waters)
イアン・スチュアートは鍵盤の上をボールがコロコロ転がるような音を出すブギ・ピアノが得意で、ローリング・ストーンズの黎明期からメンバと一緒にギグを演っていた人ですが、アンドリュー・オールダムに「ルックスが合っていない」という理由からストーンズのメンバーから外され、それでもストーンズのローディーとしてあるいはステージサポートメンバーとして、観客の女の子達がキャーキャー言って失神しちゃうようなアイドル時代からミックとキースの倦怠期「ダーティー・ワーク」の頃まで、まさしくストーンズと共にあった6番目のメンバーだったと言っていい人でしょう。本人のことを直接知らないので本当のところはワカラナイですが、ストーンズメンバーのインタビューやその来歴から、多分人格者だったんだろうなと推察できます。
ベン・ウォータースというピアニストはこれまたワタシの知らない人ですが、この方の尊敬するピアニストがイアン・スチュアートということで、ソロアルバムを作る際に「尊敬するスチュに捧げたい」なんてことをうっかりチャーリー・ワッツに喋っちゃったところから話は雪ダルマ式に大きくなって、ついにはミック、キース、チャーリー、ロニー、そしてなんとビル・ワイマンがセッションに参加するという「これってそのまんまローリング・ストーンズじゃん」というレコーディングが行われたそうな。みんなノーギャラ。そういうところからもスチュの人柄が偲ばれるワケですが、元々ソロ・アルバムを作ろうとしていたベン・ウォータースは話題を全部そっちに持っていかれているワケですから、どんな気持ちなんでしょうね?といらぬことを思ったりして。でも、そういうことでなければ多分ワタシもこのアルバムを聴いてないでしょうから、売上的にはニンマリなのかな?
さて肝心の内容は想像に難くなくブルージーなブギが楽しげに展開されます。レコーディングも和やかに楽しく行われたんでしょうね。
なんだかんだいっても注目は旧来のストーンズメンバーが一堂に会して演られた「WATCHIN THE RIVER FLOW」ボブ・ディランのカバー!面白いのはミックの歌い方ですね。ドクター・ジョンみたいなダミ声。もしかするとディランのマネがドクター・ジョンに聴こえるのか、そのまんまドクター・ジョンを意識しているのか。こういうブギならこういう歌い方って考えがあるんでしょうね。ワタシもこの歌い方しかないと思います。
全体に肩の力の抜けた演奏で楽しく、ドライブとかのBGMによろしいかと。
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