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February 11, 2011

談志が帰ってきた夜(DVD付)

100071_ 声が出なくなってしまってもうこれが最後だといつも言っていた休養前、談春の二人会の楽屋にて石原慎太郎は「今日のコレでいいんだよ。枯れた味で新境地を切り開けば」と言っていたその通りの演目だった。
 首提灯。斬られてつながらなくなっている首が歩くほどにずれていく動きの滑稽さ。噺の技術だけでないところで再始動の演目を決めてくるあたりの自己分析と、若い頃につくったスーツをバシッとキめて楽屋入りする気合と、「今日の客はマニアックな奴が多くて異様な雰囲気」と志らくが言えば、そのマニアックさを凌駕する落語のナンセンスパロディー(イリュージョンとか落語チャンチャカチャンとかよばれている)をマクラで繰り広げる大胆さ。全てが立川談志だった。
 ブックとして添えられている日記は休養時から復活にかけての時期のもので「何も面白いと思うものがない」と語る、絶望よりも手に負えない無気力さから立ち上がってくる経過を垣間見せてくれるのだが、字面だけ読んでいると結局言っていること自体は変わっていないところが一筋縄でいかなくて面白い。無気力な発言がだんだん単なるジジイの小言に変わってくる妙味と言えばよいのか。
 これまでの立川談志の舞台や映像は、豪胆な論理で構築した噺家というパッケージが前面に出されていて多分それが談志の自己防衛だったんだろうけど、今回のコレは立川談志という人間そのものが感じられるもので、感慨深いDVDBOOKだった。多分取り巻く人たちの愛情とそれに答える家元の感謝の気持ちそのものがパッケージされたものなんだろうね。

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