The Dark Knight
バットマンの新作は下馬評通り凄かった。もうこりゃアメコミ物じゃないな。コレ観たら他のヒーロー物はゆるキャラに見えてしまう。
やっぱり前作「ビギンズ」の創り込みが良かったのでしょう。あそこで何故バットマンとなったかを定義していないと、いくらヒース・レジャーのジョーカーが良くてもそれで終わったんじゃないだろうか。
そも、バットマンの在り方は筒井康隆の「富豪刑事」と一緒なんだろね。その富豪たる凄まじさに笑ったりも出来るんだけど、重要なのはお金や権力が「目的」への手段なんですということでしょう。そして、それ(お金・権力)が大きければ大きいほど目的は個人的なものと遠くなるだろうことも、忘れてはいけません。
ブルース・ウェインは、ツツイの描いた神戸大助と同じように躊躇無くお金を使って目的を遂行していますが、超然としたコスチューム・スタイルとは裏腹に、その目的を目指すという行動が本当に正しいのかどうかを、いつも悩んでいます。それが「ダーク・ナイト」の主題でもあるわけなんですけど、その悩みの答え/正体を明確に提示しているのが、この映画の中でのジョーカーの存在だと思います。だからね、この映画の主人公はジョーカー/ヒース・レジャーなんだって。
そういったトコロからも、アクション映画というよりも、人間心理・犯罪ドラマというべきかもしれないですね。確かにスタイリッシュなハイテク・ギアはカッコイイけど、一番カタルシスを感じたのはアクションシーンじゃなくて、ジョーカーが手に入れた高さ3メートルくらいの札束の山に火をかけるシーンだもんね。ヤクザの小ボスが「何てコトを・・」と驚く顔を見ながらジョーカーがギャハハと笑うんだ「本当のボスは金なんかが目的じゃない」と。そう、さっきワタシが言ってたことと同じなんだけどね。
いやぁーそれにしてもヒース・レジャーは凄い。その存在感、喋り方。ギャハハと笑うそのタイミングだって多分計算されていると思うよ。単なるコケオドシの笑いじゃなく、なんで笑ったのかのポイントが明確なんだよな。意味の無い「ギャハハ」が無い。
これが最後の演技だと思うと、本当に惜しい気持ちになりますね。ヒース・レジャー。
2時間半の長い映画は、スカっとするデートムービーではありませんが、佳作だと思います。
それと、も少しネタバレ・・。
ブルース・ウェインをフるヒロインの心境は色んな解釈があるかもしれないけど、フツーならあんなにとっかえひっかえ美女をエスコートしてる男よりも、自分だけを見てるオトコへオンナは靡くのが当たり前じゃなかろうか?ああ、でもいいなぁ富豪って。俺ならあんなコトしたりこんなコトしたり・・
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