マリー・アントワネット
ソフィア・コッポラの描くフランス宮廷物語。
マリー・アントワネットがどんな人物だったのかは、ちょっとは知ってますが、「ベルばら」とかも読んだ事が無いので、その詳細な物語は存じません。残虐な暴君であったのか?純真な女性だったのか?それすらのイメージも、ワタシは持ち合わせていませんでした。
予告や宣伝から、今回の映画は、これまでの歴史モノと異なる、ガーリッシュでポップな現代感覚の映像であることは疑う余地も無く、期待されるところでもありますが、ソフィア・コッポラのことですから、それだけでない「何か」があり、それをどう感じさせてくれるのだろうという期待も大きい今作。その両方の期待が、外される事はなかったです。
いきなりGANG OF FOURのビートに乗せて、ピストルズ風のロゴ・タイトルバックで始まるところなんぞは、かなり挑戦的で、クスッと笑ってしまいます。
キャンディー・カラーとでも申しましょうか、お菓子とポップな色合いのドレスとNEW WAVE系のBGMで繰り広げられる宮廷の営みも、胸高鳴るものがあります。しかし、それだけではない。
ロスト・イン・トランスレーションにも通じる疎外感・孤独感が、絶対的に心の底にこびりついている重さ。キャンディー・カラーとNEW WAVEのビートは、それをコーティングしているに過ぎない。パーティーが終わってしまう切なさ。そして、自分ではどうしようもない、女性であることの悲しさと喜び。それがヒシヒシ伝わってくる。
全編英語でアメリカ人の演じるフランス宮廷物語を、笑い飛ばすことも出来ますが、そんなところにツッコミを入れてもしょうがないじゃないですか。
印象に残るのは、最初から最後まで随所に出てくる、走る馬車の窓から外を眺めているキルスティン・ダンストの寂しげな顔。運命という馬車に乗っている、旅の映画なんですね。この映画の中で、彼女はいつでも、外の景色に向かって、さよならを言っていたんでしょう。
はっきり言って、スパイダーマンに出ていたキルスティン・ダンストは好きじゃなかった。あんまし可愛いと思えなくて、どーしてスパイダーマンがあの娘に熱を上げるのか理解できなかったんですが、今回はよかったね。抱きしめてやりたくなった。向こうはイヤがるだろうが。
やっぱり女性監督が、良いところを引き出したんだろうなぁ。
それと関係ないけど、マリアンヌ・フェイスフルは歳いったなぁ・・・
ポップな映像なんですが、しみじみとなる映画だったよ。
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