革命の中、恋と詩に溺れて 悲劇週間(矢作俊彦)

読み終わってしまうのが、寂しかった。
「戦争はいかが?」なんて、思わせぶりなキャッチ・コピーが帯にあったが、そんなコピーは要らない。リップ・サービスのつもりなんだろうが、的を外していてダサすぎ。まぁ、物語の中で、本当に言われる台詞なんだけど。
堀口大学という青年が、政情不安定なメヒコの動乱の中での恋と詩に向き合っていく、そんな話で、センチメンタリズムに溢れている。
戊辰戦争、西南戦争、閔妃暗殺事件、パリ・コミューンの崩壊の当事者達、新詩社、骸骨、闘牛、月、虹。古代、近代の思いが、メヒコで渦巻いていた。
題材は矢作俊彦を読んでいる人なら、「おお、そういうところを持ってくるのか!」と思うが、今までのハードボイルド調でちょっとシニカルな文体とは、一線を画く。「超大作ロマン」のロマンは、飾り文句でも語呂合わせでもなく、まさしく「ロマン」を表現したもので、読んでるワタシが、もう堀口大学になりきっていたもんなぁ。なんという作者の想像力。どうでもいい沢山の本当と、ステキな嘘。
「詩は誰でも書く。外交官も政治家も。革命家は詩を生きる。それで詩人はどうなんだ?」
そんな会話が本当にされていたのかどうかは知らないが、その言葉と、ヒロインの最後までの謎が、堀口大学を、詩人とさせたに違いないと、思ってしまう。
そして、明治45年という時代に生きた人が、なんとグローバルな視点を持っていて、カッコよかったことか。外交官一家としての話なので、そんな視点は当たり前なのかもしれないが、それにしても。
どんな筋かは、すでにあちこちで書評が出ているので、読んでみてもらえばいいでしょう。ワタシは今、読後のなんというのか、切なさに浸るだけになってしまった。
ま、矢作のファンなんで、もうしょうがないのですが、皆に勧めたい。
表紙のモネもいいねぇ。この表紙が、この小説の全てを語っているよなぁ。。
(いや、しかし、感想でもなんでもなくて、ただキャアキャア言ってるだけだな、俺は・・)
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