即興と劇中劇とカットバック「2046」
ウォン・カーウァイの話題の新作。2046は部屋の名前である。クリストファー・ドイルのカメラが美しい、切なくて官能的な映画だ。
木村拓哉が出演し、カンヌでも話題になったので、テレビでの取り上げ方も頻繁だね。でも近未来のSFではないので、注意するように。
ウォン・カーウァイについては、台本がない撮影をするということで、色々取り上げられているけど、ヌーヴェルヴァーグ という過去があった今では、取り立てていう程のものではないでしょう。それを香港でやっているという点が、面白いところでありますが。ま、それも何年も前から言われていることなんですけど。
ロードムービーでないのに、即興演出から、これだけまとまったテーマとストーリーが出来ているのも面白く、尚且つそれをカットバックの手法で時間軸を同時進行の様にしたりしている懲り方が、ワタシを飽きさせなかったですね。「ああ、コレまでの流れは、あそこの場面の説明だったのか!」みたな、パズルをやるノリで。
劇中劇が、暗示になるのではなく、そのものズバリ、テーマの説明であるところが余韻を引きました。
思えば、ロードムービーでないと言いましたが、主人公は時間軸を旅していて、それぞれの時間軸で色々な人と会っているという点で、ロード・ムービーの展開といっていいでしょう。そして、その時間軸と別の、小説という劇中劇の中で、全ての答えを出している。でも主人公は時間軸の中に居るままなので、彼の答えは解決しないという事なんです。
キムタクも頑張ってましたが、チャン・ツィイーが凄いです。主役のトニー・レオンを完全に喰っていて、二人が出ている画面では、チャン・ツィイーが主人公であるように感じてしまいましたね。
最初に言いましたが、とってもキレイで官能的な映画。デートとかに良いでしょうが、興味なければグゥグゥ寝てしまうでしょう。
ワタシはもう一回観てもいいかな。
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