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September 25, 2004

これでもくらえ! THE WRONG GOODBYE(矢作俊彦)

wgbye.jpg チャンドラーの原作を清水 俊二が翻訳したような文体。舞台は横浜・横須賀。主人公は休暇中の警官(否、閑職にやられたと言うべきか、今回は)。こんな固ユデな小説を出して、往年の矢作俊彦ファンが喜ばないワケがない。ずるい。ずるちん。「THE WRONG GOODBYE
 この人の作品になるとワタシも評が甘くなります。他の人が書いたら4のところを5です。すいません。
 まぁ、曰くつきの作品ではあるんです。古くは別冊・野性時代「矢作俊彦」にて、チョロっと書いた「グッド・バイ」がそのまんま書き出しのストーリーに来ていて、その後、クルマ雑誌「NAVI」に連載された「SO LONG]に続いていてみたいな、過去の作品の作り直しみたいにね。新作とは言いがたい作品なのです。しかもフォーマットにしているのが、チャンドラーの「長いお別れ」じゃないですか。そのまんまなんだよね。
 最後になると、パロディーなんだぜって笑わせようとするクスグリがあったりして、抜け目がないです。爆笑しました。友、遠方より来るには。
 そうしたフォーマットの中に、現代日本・世界の社会問題をちりばめたり、本当はどうでもいいミステリがあったりするのですが、むかーしに、こうした二村永爾シリーズを書いていた頃よりも、陳腐な表現(「窓越しに朝の光がツイストを踊っている」みたいな)がなくなって、安心して読める様になったのがまず何よりの年の功でしょうか。
 ハード・ボイルドは文体だって言ってるけど、こうした探偵小説が単なる推理サスペンスと一線を画くのは、主人公が正義でも愛のためでもなく、ただ真実と向き合うためだけに、都会を彷徨うところに絶対的な違いがあります。そうした意味で、「スズキさん」も「あ・じゃぱん」も「ららら」もフィリップ・マーロウの子であり、矢作俊彦のフォーマットなんでしょうね。今回はそれを分かりやすく提示したということで。
 それにしても、彼の作品では、端役の描き方が魅力的だよね。コミックの「鉄人」も一番気を惹かれたのは日本の外務官だったりして。この作品はやっぱりヨーリィだな。端役とも言えない、とっても良い役まわりなんだけどね。
 あんまり話題にならないけど、この二村永爾って、警察やめた後、「さまよう薔薇のように」の主人公になってるんじゃない?なんてマニアックな話にばっかりなってすいません。重ね重ね。興奮してるのよ。

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