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August 13, 2004

プロフェショナルなクロさと、詩人的アマチュアイズム SOSが鳴ってる(麗蘭)

reiran.jpg 元「RCサクセション」の仲井戸麗市と、元「ストリート・スタイダース」の蘭丸のユニット「麗蘭」の13年ぶりの新譜です「SOSが鳴ってる」。
 聴いて驚いた。ガーン。RCじゃん、コレ。13年前の1作目は、お互いのバンドが絶頂期だった頃で、マニアックなギタリスト同士がウチコミをバックに、お互いのギタースタイルをマージさせた詩的純度の高いものでしたが、今回はギタースタイルのみならず、フェーバリットな音楽を総合的にマージさせて、バンドサウンドとして上げてきています。このバンドサウンド加減と、アメリカのブラックミュージックの「ファンキーさ」「キャッチーさ」加減が、RCサクセションにそっくりだと思ったのです。

 土屋公平(蘭丸)は、スライダーズ出身という固定概念から世間では、ゴリゴリのロックンロールギターと思われているフシもありますが、その音楽性は、インタビューやその後のプロデュース作品等からモータウンを代表とするような、キャッチーなブラック・ミュージックに根ざしている人であると思われ、今回のアルバムは、その音楽性によるところの物が、とても大きい気がします。細かいアレンジなんか特に。
 旨いんだよね(下手・上手と書くよりこっちの漢字なのよ)演奏が。ノリがイイんだよ、これまたメロディーラインがいいのよ。痒いところに手が届いている感じ。プロフェショナルなのは当然として、好きな事をやっているワケだから小技にまで凝っているんです、サウンドの。
 でもここまでノリの良い、気持ちよいブラックミュージックを聴かされると、ボーカルに上手さを求めたくなるんだよね。今回、聴いた途端にRCだと思っちゃったもんだから、清志郎なワケ、ワタシの気持ちでは。あの人の唱(うた)で聴きたいなぁって。しかし百万が一、清志郎がここに加わったら、このサウンドでなくなってしまうんだよね。彼は彼の今目指すサウンドスタイルが確固としてあるわけだから。難しいよね、バンドって。
 ただ決してチャボ(仲井戸麗市)の歌がマズイわけではないんです。ボーカルに関してプロフェショナルでないのは当然として置いておいた時に、彼の詩人として発する言葉の表現力は、並大抵のボーカリストがかなわない旨さを持っています。今回の作品でひとつ上げるなら、10曲目の「R&R Tonight」は、彼が歌わなければ駄目でしょう。彼が歌うからこそ良い曲となりうるんだと思います。
 じゃ、他の曲はどうなんだ?ってことになるんですけど、他の曲は、サウンドで勝負しているんだよね。詩の結晶度は、ソロで出している既存の曲より低い感じが否めない(辛いねぇ、今回も)。ミュージシャンとして悪いことではないですけど。とにかく、身辺に漂っている言霊を捕まえて、サウンドに乗せたって経緯じゃないかと思います。とにかく音楽をやりたいんだっていう気持ちが勝っている。ワタシが言っている詩の結晶度というのは、サウンドに乗せるという前提もなく、ただ身体の底から出て来ざるを得なかった言葉って意味だからね。それは、ミュージシャンとして、そうでなくても咎められることではないでしょう。

 仲井戸麗市を評する時に出てくる言葉は「詩人」です。世間で「オトナだなぁ」と評されるような思慮深さと、少年のような心。この「オトナ」と「少年」の同居は、不思議でもなんでもなくて、多分、10代になるかならないかの頃に既に「オトナ」としての思慮深さを持ってしまい、そのまま大きくなってしまったのではないか?と思います。それはそれで切ないんだよね。我儘奔放に少年であれば楽なのでしょうが、思慮深さのある少年ですから。そうした切なさがチャボの愛されるべきトコロだと思います。曲によっては攻撃的な言葉も出てくるけど、それはあくまで逆説的な手法であって、よく聴くと、ちゃあんとバランスを取っているんだよね。今回の作品にも、そうした面が余すことなく出ており、少年の趣味に走ったアマチュアイズムと、オトナのプロフェショナルな思慮深さ=上手さが感じられる、心温まる佳作と言っていいでしょう。
 だから、さっき言ったように詩の結晶度が少し低いといったところで、悪い作品ではないんだよ。多分そういう詩であったら、もっとヘビーになって聴きづらくなってしまったかもしれないしね。たださ、感想として、このアレンジのままで清志郎に歌わせていたなら、星5つでした、と。いやぁ、ホントに不思議なんだけどね。蘭丸が居なければ、こんなアレンジにならなかったはずなので、チャボがRCを目指して作ったとは絶対に思えないにも関わらずだよ。俺の耳がおかしいのか?何度も聴いてみよう。

 それともうひとつ驚いたことがあって、このジャケットの写真、この間ワタシが撮った写真にもの凄く似ている・・。CD屋で手に取ったときに、「あっ」って声が出たよ。そんな偶然どうでもいいんだけどね・・・。

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