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May 08, 2004

8万文字の絵(日比野克彦)

8manji.jpg 日比野克彦という人を最初に認識したのは、段ボールアートの時だから、初期の頃からということになりますが、圧倒的に気になりだしたのは、94年に平塚市美術館にての展覧会を観てからです。
 この展覧会は街を上げてのプロジェクトで(確かこのときだったと記憶している)、酒屋のトラックにペイントしたり、民家を装飾したりと、街全体を会場にするという、かなりプログレッシブな展開をして、正直、ワタシは感動したものでした。
 この本は、よく行く本屋でたまたま見つけたんですが、少し手に取ってみて、よくいるアーティストにありがちのスピリチュアルに走った難解な文章と違って、いたって論理的にかつユーモアを交えて読みやすく、アートを語っているという点で、購入に至りました。さすが芸大の助教授です。
 随筆集とも違う、書き下ろしのアート論と位置づければよいでしょうか?ワークショップのテキストという感じの本ですね。実践に向くというか。ワタシにとって目からウロコの論理があって、とても勉強になりました。
 個人の無意識の中の美意識があるんだ、というところから話が展開していくのですが、この「無意識の中の美意識は、言葉を覚える前に(言葉で表現できない)体で覚えたものである」よって「言葉=脳で考えたものと、身体(触覚等)で感じられるものがシンクロしないと、その人の本当の表現にはならない」という論点(注:括弧内はワタシの要約です)には、とても感銘を覚え、これはコンテンポラリー・アートのみならず、全ての芸術にあてはまるものだなぁと、思いました。
 これは、絵画とか彫塑を例にとって説明されています。頭で考えて「こういう形を作ろうと思っても、実際に手で作成しているうちに変更が入ってくる。これは身体が持っている美意識が、頭で考えたものに対して、修正を加えているということであり、あるべき所作である」という内容は、音楽にも同じことが言えるなぁと思ったわけであります。
 これは、ワタシの経験から申しますと、頭で考えたものが詩となり、身体から出てくるものがビートということになると思います。
 詩が先にあって曲を作る場合、文章を書いたものがそのまま歌詞にあることはありえません。歌ってみて言葉は練磨され、気持ちのよいビート感を得るために、更によい言葉・語句に置き換えられ、しまいには当初の意味と異なった詩になることさえあります。こういった作業を経て、はじめて自分の歌が出来上がっているのです。
 この本を読んで、前に紹介した笹川美和という人の詩は、今の例とは逆に、頭脳ではなく身体の無意識から出ている言葉(音)なのかな?と、おぼろに感じました。なんだか体に滲みるんですよ。あの人の歌って。

 まだまだ本を読んだばかりで、とりとめがなくなりそうなので、今日はこの辺にしておきますが、今後もあとをひくものでありましょう。

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