October 26, 2019

世界伝奇行 中国・西遊妖猿伝編(諸星大二郎/佐藤健寿) 斉天大聖と飛葉大陸…

世界伝奇行 中国・西遊妖猿伝編 大型本は場所をとるので控えていたのですが、丸の内の丸善で手に取ったらいてもたっても居られなくなって購入。 結果、写真・イラスト・テキスト全てが良い具合でいい買い物をしたなと。ちょっと物足りないところがあるとすれば、「西遊妖猿伝」のテーマに触れず旅行記で終わっているこころでしょうか。それでも満足しましたが。
 諸星大二郎の作品は、ストーリーに纏わる世界観が宗教の世界に踏み込んでいるところが、何とも懐の深さを感じさられて読み応えがあり、すきです。
 「太公望伝」とかを読むと道教のものの考え方を肌で感じられる様な気がしますね。論理的な説明がないところにイマジネーションをくすぐられる感触なんだけど、何か必然性を理解させられる語り口なんだと思います。
 それは当然地に足の着いた取材に基づいたものであって、この本はその取材旅行記として世に出ているのであります。
 西遊記といえば、主眼となっているのは玄奘三蔵の求める仏教と当時の中国の主流である道教、シルクロードを西に行ってゾロアスター教などが混然とする世界であり、そうした人々の価値観の違いがカオスとして奇書として伝わっているのではないかと思います。
 現在休止しているこの「西遊妖猿伝」の再開始のための取材記との事で、続きが楽しみですね。

 さてそんな話は諸星大二郎の作品の書評なり何なりを読めばよく目にする内容なんですけど、今回敢えてこの記事を書いたのは「西遊妖猿伝」の主人公である悟空というキャラに既視感をずっと覚えていた事に端を発します。
 悟空といえば、善なる正義の味方というよりは心を入れ替えた元悪漢というキャラであり、今となってはそういったキャラクターってゴマンと存在しているのでしょうが、漫画作品として読み込んだときに「この人ってワイルド7の飛葉じゃない?」と。
 孤独な出生・凛々しいけどちょっと童顔・戦闘力の高さと凶暴性・強い奴にやたらと強いが不遇な人に優しい。そんなキャラクターは今のご時世沢山いてはるでしょう。でもなんていうんでしょうアクションシーンのスピード感が望月三起也的なんだよなぁ。
 諸星大二郎の作品ってアクションで押すものが少ないのですが、流石に西遊記はアクションあっての物語。悟空の戦闘力は、アクションシーンだけでなく、立ち座りのちょっとした仕草や佇まいでも表現されるのですが、これがワイルド7の飛葉に凄く重なるんですよ。
 吹っ飛びながら棒を振り回すみたいに、体の重心が中心からずれているポーズが多用される戦闘シーンとかね。
 こんな事思ったのワタシだけですかね?今回それが言いたくて久しぶりにblogに投稿した次第です。

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December 24, 2018

ボヘミアンで立ち止まってないでコレを観て欲しいわぁ アリー/スター誕生

Allystar ボヘミアン・ラプソディーが日本で大ヒットを飛ばしている中、比較的地味目に公開されたと思うのはワタシだけでしょうか?「アリー/スター誕生」。
 まぁボヘミアンも良かったけど、コレ、ロックとか好きなミュージシャンならとても観てほしい、ガガ様とブラッドリー・クーパーの渾身の映画でした。
 ブラッドリー・クーパーはこの映画のためにやったことのない歌とギターを練習したとか、ホントだろうか?ライブシーンとかのカッコよさ。ギターの音も痺れるねぇ。
 すでにボロボロの生活になっているロックスターのジャクソン(ブラッドリー)が場末のクラブで歌うアリー(ガガ様)を見て感動のあまり泣いてしまうシーンで心を鷲掴みされ、大観衆のステージに無理やりひっぱりあげられてビビリ驚きつつもスイッチが入っていくアリーのシーンではしゃっくり上げるほど号泣してしまったワタシです。
 「スター誕生」という映画はこれまでも何度かリメイクされて来たもので、大スターである男が売れない女の子を見出して恋愛となり、女の子は頭角を現して逆に男の方が落ちぶれていくというスターの悲恋のド定番ですが、男が嫉妬して落ちていくとかそういう紋切り型のストーリーではない深さを感じました。
 「魂の底まで掘りつめた曲を書かないと続かないぞ」と言うジャクソンは、アリーが売れていくにつれてキャッチーなだけのチャラいキャクターとなっていくのを残念に思う反面、それでも売れていって欲しいという葛藤があったというのがワタシの見立てです。最後の最後でアリーはジャクソンの本当に気が付きそこで本物のスターが誕生したのでしょう。
 映画のために作られた書下ろし曲はメロディーラインがガガ節炸裂でちょっとニヤリ。演技も泣けるわぁ。


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October 21, 2017

80年代をスタイリッシュに アトミック・ブロンド

Atomicblonde_4 東西を分割する壁が壊される頃のベルリンでのお話。
 80年代の映像を今見ると、妙にでかい肩パットが野暮ったくも感じて、同じ時代を知るワタシは気恥ずかしさ覚えたりもするんだけど、この映画はなんでこんなにもスタイリッシュに感じるんだろう?よくよく思うと肩パットましましの人とか出てきてないから今風に色々コーディネイトしたのかな?
 選曲も良くて気分がとてもアがるし、出てくる女優もかっちょ良い。夢中で観てしまった。
 ファイト・アクションが痛そうでその分リアルに感じられる。もの凄く強いスーパーファイターじゃないんだ。
 西側の街と東側の街並みと質感の対比もいいねぇ。
 ついこの間大学時代の先生と電話する機会があって、先生がベルリンで観たデビッド・ボウイのliveのはなしをしておられたのを思い出す。先生はドイツ文学の研究者で、ベルリンの当時の若者文化の熱さをよく教えてくれたものでしたが、そういう憧れみたいなものがワタシの中にあったのかもしれない。
 そういったいろんなかっこいいと思う気持ちをくすぐられる映画でした。

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October 09, 2017

ここ数か月で観た映画

 ちょっと最近書き込みが滞っていたのでここ数ヶ月で観た映画をランダムに記します。
 「ワンダーウーマン」が思ってたほどカタルシスがもらえなかったのが残念。凛として自信たっぷりの女性と第一次大戦下のロンドンのギャップは面白かったけどね。やっぱり期待し過ぎちゃったからか。
 そういったくすぐりでいくと実写版「銀魂」はムッツリエロさがマニアックで色々語りたくなる作品。
 直近では「アウトレイジ最終章」キタノ映画は映像美とか余韻とちょっとしたすれ違いのギャグを期待するところなんだけど、今回はプロットと俳優の濃さが面白すぎて、逆にキタノ映画的なものが薄れた印象。大森南朋とかワタシのあんまり好きじゃない演技の人がキタノ映画ではすんなり良かったりしたのが発見。役者でいうと松重刑事が取調室で怒りまくる所とかよかったなぁ。
 観た映画はどれも面白かったと言えるんだけど期待してたところと違う部分をヤられているのが最近の傾向か。何の予備知識もなくふらっと観に行かなくなっちゃったからなぁ。

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May 14, 2017

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス

Gogremix アメリカでは相当ヒットしているそうですが、ワタシの観に行った映画館ではガラガラでした。
 でもコレ凄い面白かったです。ジェームズ・ガン監督はコメディの脚本から映画界に入った人だけあって「面白い」=「笑える」作品作りのツボを押さえまくってますね。終始おふざけじゃなく、泣けるところ・カワイイところ・カッチョ良いところを上手く配分して136分の大作を間延びすることなく楽しませてくれます。
 大オススメ。
 コレの前に三池監督の「無限の住人」を観てて「木村君はいつでも同じ演技」だのなんだのと色々批判あるようですが、ワタシは彼が意外と好きで同じ演技なら高倉健だって何に出ても高倉健じぇねーかってね、ま、そのハナシはちょっと置いといて、ちょっと楽しみにしていたところがあったんですが、もう薄れてしまいました。
 「無限の住人」は原作を知らないのでアレコレ言えないんですけど、死なないって設定ならもうすこしコメディ要素を増やしたらもっと心に残るものになったんじゃないかな?って。デッドプールとかが衝撃的だったんでアレの二番煎じになってもしょうがないかもしれませんが。
 コミック原作物は基本的にコメディ路線がテッパンじゃなかろうかと結ぶわけです、今回は。グルートかわいいわぁ。

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April 15, 2017

GHOST IN THE SHELL 大女優にヤられる

Ghostintheshell Netflixに入ってから、気になっていたけどちょっと手を出しそびれていた一連の攻殻機動隊シリーズを観たらやっぱり面白くて、ハリウッド実写版は地雷だろうとは思いつつも、監督が相当日本のアニメを研究しているとのハナシから、怖いもの見たさで観てみる。
 相当中国のお金が入ってる事とか、吹き替えが日本のアニメ版をなぞっているとかアレとかコレとか上から目線で面白く思う所があって、まぁこんなものでしょなんて思っていたら、ドンデン返しの様に日本の大女優が出て来て「あっ」と声が出てしまう。案の定ワタシはこの女優にヤられて心を鷲掴みにされてしまい最後まで。
 日本版とハリウッド版のテーマ性の違いとかよりも、あの女優のあの存在感は一体なんだ?をずっと考えている。

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February 26, 2017

HAJIKIと書いてピストルとさけぶ(これもほぼ私信)


 歌と演奏は当然イイネ!なんだけど、ぐうの音も出なかったのは「俺のロックはピストルだ」という日活アクション精神が根ざした様なアナクロで在る事の「狂暴性」でした。
 ロックの定義なんて朝御飯のオカズがどうあるべきかと同じ事で人によって様々だから定義が正しいかの議論はどうでもいい事なんだけど、その対象「ロック」「朝御飯」にその人が人生をどの様に照らしているかを知る上では興味深い事だと思います。
 カッコ良かったんだよね。身もフタもなく。
 この「身もフタもなさ」にある「隙」がペーソスでありイジられドコロであったし、それを許して毅然とした態度をとっている事が紳士として皆が愛していた由縁でもあったんでしょう。
 残した作品のよさは裏で糸を引いていた者のセンスとか力が大きかった事は知る人であれば言わずもがなで語る人もないでしょうが、遊ばれていたのか遊ばせていたのか、彼らの友情へのやっかみ半分で酒の肴にさせてもらいましょう。
 ワタシももっと一緒に遊びたかった。
 「まだ一度もウチのスタジオに来て貰ってないじゃない!」結構マジに怒られたっけ。当然その後行きましたよ。嬉しかった。怒られて。
 そう言えば、多分ご本人忘れちゃってるかもしれないけど、その昔ワタシに「いつか一緒にやりたいから聴いておいて」と曲を送付された事があった。何だと思う?アリス・クーパー「Is it my body」
 それ唄うのはワタシなんかよりも似合ってる古いお友達のIさんがいるでしょうとハナシ半分にしてしまっていたんだけど、演っておけばよかったか。何しろ古いハナシなので行き掛かりとか忘れちゃったけど、アリス・クーパーってのが印象的だった。
 R.I.P. shunsukyさん
 向こうでくにっちとボンゾのハナシで盛り上がっているかな。

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January 10, 2017

告知 侍黒伍1月15日上野広小路

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 新年早々告知申し訳ない。でもつい昨日までどこでやるかも分かってなかったなかったワタシです。しかもバンドメンバーは新宿イカセンターの事ばっかりをFBで話題にしてて、あれも確かに心に残るアレでしたがきちんと告知をします。
 1月15日(日)
 御徒町 JAM SESSION
 http://jamsession.jp/
 OPEN 18:30 START 19:00
ワタシのバンド侍黒伍(SAMURAI BLACK FIVE)は19時50分から登場。

 ひとこと言っておくと12月にやったときと同じセットでありますが、見逃した東京方面の方是非にご来場宜しくお願いします。

 イカ肝のルイベは本当にヤヴァイね。自分を見失うくらいに日本酒いっちゃうっし・・・カンケーないけど。

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December 22, 2016

Joanne(LADY GAGA) ワタシのGAGA師匠

Ladygaga01 GAGA様を初めてスゲーなと認識したのは生肉スーツより後のこと、ちょっと前の来日で初音ミクへのオマージュを色んな所で行ってたのを見てからなんだけど、その時のマスコミは多分何の事か分かってなく微妙な報道で、オイオイこの人の親日派ぶりはタダモノじゃないぞ、そうでなくても今の日本の最先端をアソコまで的確に、しかも面白おかしくエンタメし、かつメッセージ滑り込ませる芸当を出来る人はそんなにいねーぞ、という事で、もうこの人はワタシの知人がポール・ウエラーのことをポール師匠と呼ぶ様にガガ師匠と呼ばせてもらいたいくらいに凄い人だなと。
 ガガ師匠の曲の特色は同じ言葉のフレーズの繰り返しが面白い響きを持つ所で、大人から子供までそのフレーズを口にしたくなる魔力を持ちます。これは先ごろ北米を皮切りに日本のピコ太郎が大ウケした理由と全く同じなのですが、ガガ師匠は歌詞全体がもっと社会的なメッセージを含んでいるのでちょっと相手にならないですね。
 で、今回の新譜を聴いてワタシはズッパマリました。まーね、コソコソずっと前から聴いていて、前々作・前作はちょっと派手に行き過ぎて食傷気味の感あったけど今作はいいなぁ。つーかこの人こんな歌上手かったんだと。
 上手いなあと思うのは、歌への感情の出し入れね。今作はじっくり聴かす曲が多いのもあるけど、すごくうまく感情を歌に乗せて、ある時は涙を誘い、ある時は爆発させ、ある時はスルッと流させる。あのキャッチーでポップなフォーマットの曲の中でそれをやるのは物凄く勉強になりました。やっぱり師匠と呼ばせて頂きたい方。

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December 11, 2016

平塚ロケット

Tirashi ベルマーレのクラカンへ行くのに美術館でクルマを停めて、時間潰しに平塚博物館を覗いたらロケット開発の特別展をやってて、これ又興味深いハナシを見つけたのでご紹介。(ちょっとワタシの脚色も入ってるけど御容赦)
 日本の宇宙開発は戦後から始まったと言われますが、実はその前にロケットの為の火薬研究をしていた村田勉という男がいたそうな。
 この人、当時平塚にあった海軍火薬廟にて研究所を建ててズッコンドッカン実験しては、爆風で大きな破片を食堂勤務のお姉さんの足元に落っことしたりして「きゃー」なんて迷惑をかけ、お偉いさんから「おめーいい加減にしねえと敷地使わせねーぞ」とか怒られてるマンガのような展開。
 しかし彼の研究から開発されたロケット弾が硫黄島にて相当に米軍を苦しめると、かなり待遇が良くなって有人ロケットの開発を目指します。まあ結局兵器転用されて「桜花」という人が操縦するヤバいミサイルみたいのまで作るワケですが、米軍にどうやらアソコの工場は放っておくとマズイぞと45万発の空襲を受け平塚という町が壊滅してしまいます。東京大空襲が38万発と言われてますからそれを上回る物凄い攻撃だったんですね。
 ここで一旦研究が途切れてチャンチャン。
 そして戦後、ロケットの開発を目指す糸川英夫と空襲から生き延びていた村田の出会いがあって、ペンシルロケットから始まる日本の宇宙開発へと続くというドラマ。面白くないですか?
 博物館の研究員の説明は、どうしてロケットは飛ぶかとか科学的な説明が先立っていたのですが、展示されていた資料から前述の様な人間ドラマが読み取れて、興味深かったなと思った次第です。

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