April 14, 2012
先日TVでジョン・フランケンハイマーのグラン・プリを観ました。
壮絶なレースシーンと説明がうまくできないような男の生き様があいまって織りなされるドラマは名画と呼ぶにふさわしいもので感動しました。そして、これに出てきた三船敏郎のオーラが凄かった。
一応主人公はジェームズ・ガーナーですがどちらかというとレーサーとその周辺の人々の群像劇に近い。登場人物みんながドラマを持っている。けれども三船敏郎がひとたび現れると、何と言いますかそのオーラで他の登場人物を喰ってしまう感じ。
そういうのを観て、ちょいと三船敏郎の主役級の映画をまたじっくり見直したいなと思って引っ張り出したのが「レッド・サン」。
三船敏郎といえば、「用心棒」だったり「椿三十郎」だったりと黒澤明の作品が大大メジャーでしょうが、あれはクロサワ映画。黒澤明の作り出す画像がミフネのオーラを更に凌駕していて、「ああ。三船敏郎を観たなあ」ではなく、「クロサワ映画をみたなぁ」になってしまう。
で、何ぞちょうど良い塩梅の作品は?と思いついたのが「レッド・サン」。この映画、世間ではあんまり評価されていないようですが、ワタシは何故か心に残る映画なのですね。
西部劇でありますが、フランス・イタリア・スペインの合作。しかも監督はイギリス人で「ロシアより愛をこめて」を撮った人。ま、マカロニウエスタンの亜流と言っていいかもしれないですね。タイトルバックがいきなりフランス語なのが何か「これから異次元に連れていかれる」みたいな気持ちにされます。
配役はチャールズ・ブロンソンとアラン・ドロン、それにミフネ。ブロンソンはアメリカ人でありますが、元々フランス映画で活躍してる俳優なんですね。アラン・ドロンとの共演の「友よさらば」とかイェーイ。やはしミフネのオーラに対抗できるのはブロンソンしかいないでしょう。濃いです。男くさいです。
ストーリーはアラン・ドロン扮する強盗団のボスに宝刀を奪われ友の敵を討つべく追いかける侍のミフネと、やはりドロンに裏切られ分け前を取り戻そうとするブロンソンが二人で旅をするバディー物。ミフネのキレのある殺陣とブロンソンの無法者らしい仕草、そしてなんともウィットに富んだ会話と男同士のぶつかり合い。
今見返すとクライマックス決着のシークエンスはもう少したっぷりととって欲しかったかなとも思いますが、ラストシーンの余韻とか心に残るものがありますね。
なーんかお勧めのビデオない?とかお探しの方へ参考になれば。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
April 09, 2012
84回アカデミー賞の賞取合戦は映画黎明期を主題としたヒューゴとアーティストの一騎打ちという様相でありましたね。
アカデミー会員は当然映画に関連した仕事をしている人たちでありますから映画作成黎明期の人々にリスペクト送るような作品には票が集まるのは当然で、なーんかヤらしい気もしますが、下心だけで作ったモノは分かっちゃいますからこうやって勝ち残って来た映画は評価に値する映画愛を持っていると思います。
そういった中で映画愛ということではワタシはヒューゴに軍配が上がるような気がしますが、「アーティスト」の敢えてモノクロ・サイレントというフォーマットを選ぶことでもう一度映画の出来うる表現を見つめなおし、観る方も作る方も楽しんでみせるという点において感動をよんだんだと思います。
なるほどと膝を打つ大団円。その展開のみごとさに感涙した次第。
サイレントでの大スターがトーキーへの変革について行けずに落ちぶれる様や、蔭ながらそれを応援する女性は紋切型であり、もっといえばあの女性像は男にとって都合が良いだけのような描かれ方であり現代のドラマにはあまり出てこないタイプでありますが、そういう人物設定もモノクロ・サイレント時代のフォーマットとして使用しているのかもしれません。
昔の娯楽映画のフォーマットといえば、二枚目スターとヒロインというフロントの横に三枚目が必ずいたはずなのですがこの映画にはいなかったかな?と思ったらおりました。そう犬ですね。ものすごい芸達者なワンちゃん。
すべてのカットに意味を込めて作りこんでいるのをなぞる楽しさがある映画でありました。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
April 01, 2012
卓越なドライビングテクニックで犯罪者の逃がし屋が主人公である。ウオルター・ヒルの「ザ・ドライバー」のリメイクのつもりで企画されたそうで「超絶アクション」とかの謳い文句がついているが大嘘。たしかにタランティーノばりのバイオレンスはあるけどね。
色んなところに映画評が出ているとおりシェーンのもじりで、若い人妻とプラトニックな恋仲になってその家族の駄目オヤジを救うためにひと肌脱ぐワケありの男の話なんだけど、アクションものとは全く別の視点で撮られているのでそういうのを期待していった人は面食らうでしょう。でもワタシには、どストライクの映画でした。良かったんですわ。
まず色彩がウォン・カーウェイのような彩度の高いワタシの好きな濃厚な色あい。オトコとオンナが恋に落ちていく過程のなんとも甘い描写。終盤出てくるどぎついバイオレンスと、犯罪映画であるという緊張感。
ラスト近く、クルマのシートで動けなくなっている主人公を地面から舐め上げるようにスローで撮っているシーンはワタシにとって至福のようなカットで、たまんなかったです。好きな写真集を観ている感じ。たぶん映画の文法とちがう文法で撮っているだね。だからみんなの想像するアクション映画と別のものになっている。
画像は徹底してカラーコーディネイトされているそうで、そういえばエメラルドグリーンの印象が濃く残っている。ヒロインの家の壁紙がそうだったり、子供のTシャツがそうだったり。そうした中でヒロインの来ているベストの赤に「ハッ」とする。そして本当のラストショットでエメラルドグリーンの意味を悟るのです。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
March 21, 2012
先日の落語会で入手したサイン本。
読みやすいという評判だったので「軽薄な語り口だったらヤだな」と敬遠していたが、読んでみると軽薄な語り口は想像通りだったけど、内容は心に残るものがありました。立川談志論・落語論(落語とは「人間の業の肯定」「イリュージョン」「江戸の風を吹かすこと」)は談志本人の著作がいくつもあり、これが大変マトを得て分かりやすいものなので、わざわざ人の書いたものまで読むのは蛇足というものでしょうが、その理論へのアーティテュードとか解説、そして愛情を分かりやすく示した部分に惹かれた次第です。
これを読んであの談笑との二人会の演目の意味とか志らく自身が立川流のB面であるといった意味がわかった気がします。
そしてまた師事することとはどういうことかを明確に定義していて、その定義(師匠と同じ価値観になろうとすること)こそが今の芸能のあるべき姿へのメッセージになっているのでしょう。そういったところから、芸能は「人へのおもい」で紡がれているものなんだと窺い知った思いです。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
March 12, 2012
久しぶりのヴァン・ヘイレンの新譜はボーカルにデイブリーロスが復帰。ギターサウンドは紛れもないヴァン・ヘイレンの音。
ギター弦をステレオに振り分けたりとか相変わらず色んなトリッキーでマニアックなサウンドの仕掛け。
そんな中で聴きどころはやっぱりデイブリーロスのボーカルで、トーキングになるところとか中々円熟味が出ていてよござんした。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
March 04, 2012
駅の壁の裏側を縦横無尽に駆け回る少年は、ワンスアポンアタイムインアメリカの少年の頃のワクワク感をファミリー向けのエンターテイメントにしたようだし、空からカメラが降りてきて駅のホームを舐める映像だってシャインアライトで似たことをやってたし、正しくスコセッシの映画。
映画好きの監督が映画への感謝を込めて、映画がくれた驚きとは何かを突き詰めて、新しい形で提供しようと努力した物なのでしょう。そういった所はスピルバーグ的で、アカデミー会員に評判良かった所以だと思います。
パリの夜景と、ヒットガールの「当然そこに冒険があるからよ」という台詞に心動きました。
でも、ヒューゴは何も発明してないよな。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
February 19, 2012
立川流の四天王といえば志の輔、談春、志らく、談笑なんだそうだ。その中でも安定した芸とお茶の間の浸透ぶりと年齢から志の輔は看板となるだろうし、渋く古典の神髄を追及する談春、このふたりがA面で、談笑と自分はB面だとうそぶく志らく。
そうはいってもあの師匠から叩き込まれた芸は生きていて、婆さんのやり方や聞かせどころに耳を集める技術は談志の面影が垣間見える。事実志らくは師匠が自分に降りてきて勝手に噺をやっているような気持になるという。
談笑だって辛辣なギャグを交えながらも、「時そば」の屋台の風情が見えるような語り口にしみじみしたものをワタシは感じてしまう。
今日は新作やシネマ落語が飛び出すかな?と思ってたのですが古典で統一したあたりに今の時期、立川流のなんたるかを見つめなおそうという心なのでしょうか。
付けたしになって申し訳ないですけど、前座となった志ら乃もよかったな。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
February 18, 2012
先日自宅の射程距離内で件の映画がかかったのでやっとこさ観に行くことができました「宇宙人ポール」
パロディーギャグの応酬。「元ネタへの愛情」というと逆に陳腐な言葉になってしまうのですが、「よかったよなぁあのシーン」「好きだったなぁあのセリフ」といった部分へのオマージュでもあるワケで、そうした想いのやさしさに最後感涙を禁じ得なかった作品でありました。
そうした感想は拝読しているこのページで既に語られているのでこのくらいにしておきますが、パロディー・オマージュだけではなく、宇宙人とキリスト教原理主義者とのやりとりとかのギャグはおかしかったなぁ。そう、純粋にギャグやストーリーが面白かったですね。もちろん出オチのラスボスとか「笑え化け物!」とかのフレーズも楽しみましたが。
表題にもあるように実はワタシETは未見なんですよ。ただ色んな情報が入って来てしまっているから、なんだか今更見る機会を作る気もなくなってしまっていて、これから先も観ることってないかもしれないですねぇ。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
February 12, 2012
まー外タレコンサートづいてる2月です。渋谷公会堂は2月8日テデスキ・トラクス・バンド。
3大ギタリストと言えばベック・クラプトン・ペイジだったのですが世代交代で今やジョン・メイヤー、ジョン・フルシアンテ、デレク・トラックスなんだそうですが(ふーん)、そのデレク・トラックスと彼のかみさんのバンドですね。
ステージ狭しとデレクとかみさん、キーボード、ベース、ホーン3人、コーラス2人そしてドラム2人!という大所帯。そしてその全員がソロをとるというコッテリした内容。
上手いしカッチョいいんだけど、タイコ2台のバランスが難しいのかサウンドはちっと散漫気味だったかな。演奏としてはフルートとデレクのスライドギターの掛け合いとか夫婦でのギターバトルなぞ見どころ満載なんだけど、演出が地味なのが少し残念。映像作品にしてもう少し演出加えたら身もだえするくらいの興奮になるかもしれないけどね。それかもう少し小さな会場でやるとか。それとタイコは2人いらないとおもうんだよなぁ。
コンサート始まって少ししてからドヤドヤと大勢の客が遅れて入って来て「何だ今頃大勢で連れ立ってやってきて邪魔なやつらだ」と顔見てやろうと思ったら、なんとLOS LONELY BOYS御一行様!前日同じ渋谷で見たばかりの方々でしたが再び興奮。ラストの曲の前にまたドヤドヤと帰っていきました。うん。客層もたぶんカブってるだろうしね混乱回避策なのか。これも思い出に残るコンサートになりました。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
February 11, 2012
Rockpangoという新作をひっさげてLOS LONELY BOYS来日。
一か月前に発売されたばかりで、買って聴き込んでから行くのが筋なのでしょうが、LIVE会場で購入したらナニガシかのオマケがつくんじゃなかろうかと引っ張ってみたワタシでした。案の定サイン入りのキャビネ版写真がもらえたウレシー。
クラブ・クワトロなんて小さいところでやってくれちゃったものですからイヤが上にも盛り上がり。ステージに登場する3人は、写真で見る限り犯罪者ギリギリの厳ついラテン系にーちゃんかとおもいきや、お兄ちゃんになるに従って横に大きく、顔つきもすんごく優しそう。ギターの末っ子がヤンチャな感じで、6弦ベースの中兄ちゃん、ドラムの大兄ちゃんがとっても大らかに何でも許してくれそうな感じ。あの笑顔だけであったまるイメージ。
ラテン系ロックンロールに最近の作品では少しヒップホップのフレーバーが入ったボーカルラインが印象的。コーラスワークでアレンジがとても厚く聞こえるんだけど、それでも飽き足らずに爆音演奏でワタシは3回くらい意識が飛びそうになり申した次第。
エエモン見ました。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
Recent Comments